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「おう……、ありがとうございます……。」
その言葉にニコリともせず、気持ちうなづいただけだった。
それを俺は見つめながら、少しだけ胸が苦しくなる。
「いや、手助けできたなら嬉しい。」
そんな言葉さえ、なんの感情も見えない。
本当にコイツはなんなんだ?
何を考えているんだ?
「好きな人の役に立てるのは、嬉しい。」
「ブッ?!」
ーー出た。
これだ。
「いや、だから誤解だろ?お前の主義は分かるけど、俺男だから!」
最大限、声をひそめて叫ぶ。
矛盾しているが仕方ない。実際そうなのだから。
顔が熱い。その感覚で赤くなっているのが分かる。
不本意ながら白い肌は、すぐにそれがバレてしまうのだ。
それを隠したくて、顔を背けるが、その一瞬も捉えていたらしい。
「……暑いですか?」
「……暑くねえ。」
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