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老人たちは、ニコニコしながら手を振り、それを見送った。
そして、自治区の入り口をゲートキーパーが封鎖した。
「なかなかええ塩梅だったよ、中野君。いらんことは一切言わんかったしのぅ。」
俺は無理やり演技で笑顔を作っていたので疲れてしまった。
「まぁいらんことは考えんほうがええよ。あんたぁ、行くところなんてなかろうがの?」
じいさんはシシシと笑った。
俺たちは家畜同然に働いている。
社会でつまはじきにされた若者たちは行き場はない。
ニートも親が死ねばただの無職、収入も働き口もない。
誰もニートなんて雇わないし、近年オートメーション化が著しく、人件費を払うよりも
マシーンを購入するほうが得、徹底した合理化が進められ仕方なくこういうところに流れ着くのだ。
別の老人が来て言った。
「まぁここから逃げようなどとは思わないこっちゃ。アンタらから来たんじゃからの。
ここにおったほうがええ。国がアンタらに何をしてくれるっちゅうこともないからの。」
その通り、全く異論は無い。
しかし、ここは老連が法律なのだ。
先日、俺たちばかりが重労働させられるので、キレたやつが突然老人に暴力を働こうとした時も
そいつは猟銃で足を打たれた。普通なら警察沙汰だ。
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