1. 内海 賢助

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1. 内海 賢助

思えば…過去を遡れば、後悔の元にはいつもこの感情が邪魔をしていた 小学校の時大好きなタレントが学校に来た。タレントが帰る前、列に並べば握手出来るという機会を設けてもらったのに僕は並ばなかった 中学校の時初恋の女の子と帰り道で偶然一緒になり女の子から買い食いを誘ってくれたのに、僕は断った 高校の時友達が紹介してくれた女の子とデートに行くことになったのに、デート直前猛烈な下痢に襲われ行けなかった チャンスを逃した時、いつもその「臆病」さが傍にあった あと一歩踏み出せば未来が変わってたかもしれないのに 上がる心拍数は足を竦ませた それが今の内海賢助を形成した核となる感情だった だけど僕はそれを切り捨てたーーー その結果、自分とは対照に位置する人と仲良くなれた 不思議と胸にあった緊張と恐怖がどこにもなく、人の顔色を伺い生きることを必要としなくなった 何かから解き放たれたような、自由な感覚 それが齎すものは、僕にとって未知で僕にとって渇望した未来だ 僕の人生は、ここから始まるんだと…自分の中にあった何かが回り始めた
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