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「・・さっきの少年Bもその話しを知ってるのか?」
・・・シルフィの頭の中では、俺と侑李は少年AとBになってるらしい。
「・・俺が 武瑠でさっきの彼は侑李です。覚えてください」
「・・生憎、私の脳は必要ないことには、はたらかないのだ」
・・・本当、容姿こそ違えど、こんな訳の判らないとこなんか、兄弟よく似てるよ。
「侑李は何も知りません・・知ってるのは俺だけです」
「彼には話さないのか?」
「俺の口からは、ないです。これから先も話すつもりはないです」
・・ 少し間を置いてシルフィはきいた。
「・・・その・・君はシオンのことを知っても、これから先・・シオンと一緒にいられるのか?」
「俺は、これまでと同じです。この先もシオンと一緒にいます」
迷いなく答えた俺に、シルフィは目を大きく見開いて、少し驚いたような顔をした。
「シオンの生い立ちがどうであれ、シオンはシオンです。俺たちの関係はなにも変わらないです」
俺の返事のあと、暫く何か考えているようだった。
「・・・そうか・・そうだったのか・・」
シルフィは難しい問題が解けた時の子供のように、嬉しそうに呟いた。
「ありがとう。武瑠、君と会って日本に来た目的の一端は果たせた」
シルフィは俺の手を握って穏やかに微笑んだ。
・・残念ながら、シルフィが思い至ったことは俺には全然わからなか った。
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