水着少女と殺人未遂

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「急いで水着を整え、彼の肩を担いで砂浜に戻ろうとしたんですけど、彼が思いの外重くて彼の顔が何度も水に浸かってしまって。そのおかげ……と言うと変ですけど顔の血は全部流れ落ちたので鼻血のことは他の人には気が付かれませんでした。」 「なんとか砂浜に辿り着いたんですけど彼の意識は無くて。その後のことは分かりますよね。」 「って何笑ってるんですか!!」 怒った様子で彼女が肩を叩いてくる。だって笑わないなんて無理な話だ。今日1日振り回され、頭を悩ませイライラしていた事件の真相が、こんなにも下らない事だったのだから。 なんてことはない、ただ健全で健康な男の子が好きな女の子に興奮してしまった。ただそれだけだったのだ。 にやけようとする表情筋に喝を入れ、なんとか真面目な顔を作り彼女の方へ顔を向ける。 「話してくれてありがとう。このことは俺の中だけで終わらせておくよ。」 「えぇ、当然ですよ。約束ですから。」 すっかり日が沈み、月がくっきりと見える。昼間は馬鹿みたいにうるさかった蝉も今は勢いを失い、カエルの合唱に負けてしまっている。 あぁ、やはりこの街は平和だな。と思う。 「もう帰った方がいいんじゃないか?送っていこうか。」 「今日は病院に泊まっていきます。あのバカ……もとい彼が心配ですし、許可ももらってるので。」     
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