海が見える交番

水着少女と殺人未遂

「先輩！！サボるのはいいですけど書類を枕替わりにするのはやめてくださいよ！！」

机に突っ伏して眠っている俺に、無駄に元気をあり余らせた後輩が咎めるように言葉を投げつけてくる。
7月も後半に差しかかった今日、昼夜を問わず鳴きわめく蝉の声でただでさえ寝にくい状況だというのに、この後輩は寝不足の先輩を気づかう様子など微塵もみせてくれない。

「いいじゃねぇか、別に減るもんでもねぇんだしよぉ……。」
「減りはしませんけど増えるんですよ、僕の仕事が。その書類探してたんですから。」

ため息をこぼす後輩に、へぇへぇそうかいなどと適当に返事をしながら体を起こす。頬に張り付いた書類がぱらりと足元に落ちた。目を落とすと海水浴客に対して置き引きや車両盗難に気をつけるよう呼びかける掲示用の書類だった。