水着少女と殺人未遂

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ここはドがつくほど田舎の交番、目の前に海が広がっていることだけが唯一誇れる部分だ。常駐しているのは俺と後輩だけのゆるーい交番だ。田舎だけあって起きる事件と言えば落し物や爺さん婆さんの深夜徘徊ぐらい。街の連中も妙に平和ボケしていて、滅多に事件も起こらない。俺はそんな街の交番の警察官をやっている。そりゃ書類を枕にして寝たくなるのも頷けるってもんでしょう。 だが夏になると陽気に浮かされたバカどもがこの町唯一と言ってもいい観光施設である海水浴場に集まり、騒ぎ立てたり喧嘩をしたり……まぁそれなりに忙しくなる。とは言っても3日に1回通報の電話電話が鳴ればそれなりに忙しい方だと言えるくらいには暇だ。 「海水浴ねぇ……何がそんなに面白いんだか。」 「そんなにひねくれたことばっかり言わないで、一緒に見回りにでも行きません?そうやってダラダラしているよりずっと有意義ですよ。」 「やだね。あいにく俺はインドア派なんだ。」 「えー、一緒に行きましょうよ!!水着の女の子とかに声をかけられるかもしれませんよ、おまわりさーん!!って。」 「やだね、俺は事件でも起こらない限り絶対に行きたくない。第一何が悲しくて野郎2人で海に行かなきゃならんのだ。」 そんななんの生産性も無い話をぐだぐだと続ける平和な午後、このまま今日が終わればいいと思っていた矢先に、まるで示し合わせたかのように電話のベルが鳴る。後輩が電話に出て、少し会話をした後「すぐに向かいます」と言って電話を切った。 無駄にイキイキとした表情をこちらに向けて無駄に元気に口を開く。 「さぁ先輩、事件ですよ!!」     
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