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夢を見るのが好きだ。
空を飛ぶ夢、遊園地で思い切り遊ぶ夢、お菓子の家。
ファンタジーな夢はもちろんのこと、貴和子はホラー色のある夢も好きだった。
もちろん恐ろしいのだが、目覚めた時に、「あー、怖かった!」とまるで映画を観た時のように余韻を楽しむことが出来る。
どんな夢も好きなので、夢を見るために自然、睡眠時間も長い。
夜は冬でも夏でも21時を回ればすぐにベッドに入る。
今時の女子高校生にしては早寝すぎだ。
今朝も、学校に行く準備をしながらさっき見た夢を思い出していた。
「殺し合いに参加する夢なんて…」
貴和子は夢はある意味映画のような物だと思っている。
先ほど呟いていた殺し合いをした夢では、貴和子は銃弾を肩や太ももにうけた。
珍しいことだが、貴和子は夢の中でも痛覚がある。ただし、夢なので痛みは暖和される。
切らればチリリと痛いし、撃たれれば(これは経験がないため)刃物が刺さるように痛む。火に巻かれれば熱い。
痛いのはいくらなんでも嫌だ。
そこで貴和子は、「これは夢だ」と認識した際の、眠りから覚醒する方法を得ていた。
まず、夢の中で開いている瞼をギューっと閉じる。
そして再び目を開けると、いつものベッドの上にいるのだ。
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