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翌朝はやく目を覚ましたコレットは、皆が起き出す前に自室に戻ると、何事もなかったかのように装って朝食の席へと向かった。
コレットの母は目覚めが遅く、毎朝の食事は自室で取るため、食堂では父とセルジュとコレットの三人がテーブルを囲んだ。朝食を盛り付けたプレートが給仕されると、三人とも特に言葉を交わすことなく、それぞれが食事を口にし始めた。
カトラリーが食器に触れる涼やかな音だけが食堂に響く。しばらくして、父がおもむろに口を開いた。
「ところでコレット、子供はまだなのか?」
「んんッ!?」
「お父様っ……!?」
セルジュが軽く噎せ返り、水の入ったグラスに手を伸ばす。勢い良く席を立ったコレットがテーブルに手をついて喰ってかかるように声をあげると、父は悪びれもせずに肩を竦め、さも不思議そうに言った。
「セルジュくんが屋敷に来てもう三月になるだろう? そろそろ出来てもおかしくないと思うんだが……お前達、もしかして相性が悪いのか?」
「違っ……お父様がセルジュさんを認めないって散々嫌味を言うから……!」
「なんだ、まだしてないのか」
「してっ……」
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