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「おはよう、最近授業中寝てないし朝はちゃんと来てるし偉いじゃない、何かあったの?」
最近知ったのだが、Rは朝いつも機嫌が良い、思っていたよりも明るい子な気もするのだが、入学当初から私以外と話している姿はまだ見ていない、実際のところどうなのだろう。
「あぁおはよう。まぁ色々あったんさ...多分もう学校じゃ寝れないよ...」
今まで生きてきた中で女子と会話するという事が滅多になかった私が普通に会話をしている。これも私の世界の彼女の影響か...
「てか、Rは僕以外の人と話したりしているの?」
「今のところ一度も無いわね、私が近づくと皆去ってゆくもの、」
なんというか複雑な気持ちにさせられた。彼女は人と話すことを許されていないだけなのかもしれない。私と違い本当は人と仲良くしたいのではないか、そう思った。
帰り道、ふと空を見上げたら、彼女が浮いていた。一人、二人、三四五六... 無数の彼女が無表情で宙に浮かんでいるのだ。私は出来るだけ上を見ずに帰路を進んだ。なんという事だろう。地面から彼女が生えている。15cm程の小さいものから12m程あるものまで、上下逆さまのものもあった。彼女が地に根を張り道路に生えている。私は夢の中にいるのかもしれないと、頬を抓る。痛い。これは現実らしい。地面に生えた30cmほどの彼女に触れてみる。反応は無く、冷たい。そして目線は、ただ彼女の浮く融通無碍な空を見上げているだけであった。 私はそんな空にも地にも存在している彼女を無視し、帰宅した。今日は疲れている。もう寝よう。そう思い就寝する。
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