第一章・道を逸れて

5/5
前へ
/5ページ
次へ
海の願い   そこには大量のヘドロが溜まっていました   此れは大変な事です   オニヒトデの死骸やら川から運ばれてくる汚泥が   潮止まりの底で異様な光景です   魔物の住む世界です   アンコウは教えてくれました   この潮溜まりには海の歴史が層になって積もっている事を   私は息が詰まってしまい喘ぎました   喘ぐ私を見たアンコウは   提灯の光をさらに強くして   もと居た崖っぷちの岩場まで飛ばしてくれました   そうなんだ一度汚した海は   気の遠くなるような時間が必要なんだ   何時か地球のマントルで燃え尽きるまで・・・   岩打つ潮騒の音で目が覚めました   アンコウと遊んだのは夢だったのでしょうか   朝日を浴びて迷わぬように東へ向かって   帰る事にしました                  完
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加