Reunion

2/12
前へ
/94ページ
次へ
手が届きそうな、すぐそこにいるのに… 見えない壁の向こうにいるみたいに、手も声も届かない。 叫んだ。 声が枯れるまで。 喉が潰れて痛くなるまで。 ずっと… でも、あのヒトには何も届かない、聞こえない。 あとほんのちょっと。 手を伸ばせば届く距離。 なのに、何かに阻まれて… あのヒトはこっちを見ないで、気づきもしないまま行ってしまう。 追いかけたいのに、前みたいにやっぱり足が動かない。 「…ねぇ、なんなのその夢?」 「さぁ?」 あたしだって、たまに見るこの夢がなんなのかなんてわからないわよ。 2週間前に見た夢と繋がっているんだろうか。 「ことごとく欲求不満なのね」 「ヤ、そうじゃないと思うんだけど」 「で?あれからだいぶ経つけど、見つけたの?」 「いいえ、どこにもいません」 毎日、とはいかないけど、あの場所近辺を通る度キョロキョロと探してみたりしてみた。 だけど、やっぱりというべきか、もちろんいなくて。 外回りの途中とか出張とか、そんな感じであそこにいたのかもしれない。 そう思うと、会うことは二度とないって… 忘れる、どころかだんだん忘れられなくなっている、この状況。 ティセアにはバカにされたけど。 現実を見ろ、って。 わかってるんだけどなぁ。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加