love at first sight

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「そういうことで、よろしく」 「ねぇねぇ、次対戦して勝ったらチャラってのはどう?」 よろしくとか言いながら、あたしが会計をしてる間も出ては行かず、横に立って待つ。 先に出ていてもいいのに。 顔に似合わず律儀なヒト。 親友は生まれた時から日本に住む外人さん。 初対面のヒトは必ず英語で話しかけるけれど、日本語しか話せない。 密かに特訓中なのだとか。 今さらだと思うけど。 「あんた、今何考えてた?」 「イエ、特に何も」 「そう、まぁ、チャラにはしないけど」 見透かされてるし、サラッと拒否されたし。 …ちゃんと1ヶ月支払いますよ… 「早く行かないと遅れるよ」 「ホント、あんたは正直者ね」 背中を押して外に出ようとすれば、呆れた声でそんなお言葉。 その言葉、そっくりそのままお返ししたい。 正直過ぎて、言わなくていいことまで言うから。 「ホラホラ、信号変わる」 「急いだってムリよ」 そうなんだけど。 「それより、亜未の方が信号変わったみたいよ」 「うん、じゃあまたね」 なぜか慌てなくていいのに、慌ててしまって振り向き様にドンッと誰かにぶつかってしまった。 周りを見ていなかったあたしが悪い。 「わっ、ごめんなさい!」 「…イヤ、大丈夫」 「ケガとか…」 「少し当たっただけだから」
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