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普段ならこんな、人様に迷惑をかけるようなことないんだけど。
何を慌てていたんだろう?
「それより、君は平気?」
「あ、はい、だいじょ…ぶです…」
ぶつかったのはこっちなのに、柔らかい笑みで心配してくれる。
ただ、その笑顔が、あたしの心に残像のように残って。
「あ、の…」
「亜未、信号変わるよ」
「あー!ホントにごめんなさい!もし何かあったらこちらに連絡お願いします!」
たぶん名刺なんて必要ない。
なんでかわかんないけど、とっさに渡してた。
渡して、逃げるように横断歩道を渡って。
ヤバい…タイプだった!
タイプだったんだよ!
あたしの密かに応援してる役者さんにちょっと似てる感じの。
ぅわー!ヤバい!
どうしよう、これが、あの…
あの、ヒトメボレってヤツなの?
わー、どうしよう、もう二度と会うこともないのに、あたし何やってんだ。
ヒトメボレ、とか。
バカじゃん、あたし!
なんか、顔が熱い。
大丈夫、すぐに忘れられる。
ないない、ヒトメボレとかないから。
あー、そういえば、ティセをそのままにしてきたけど…
ティセなら、あの状況でも何も言わずに仕事に戻るか。
うー…
あとで連絡してみよう。
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