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「……でもまぁ、近場で手を打つってのもアリだと思うぞ」
「はー、そうですか」
ガシガシと頭を掻く先輩に生返事。
だって、近場って言われても、誰もいない。
あ……
ヤ、でも、あのヒトとは二度と会わないと思うんだ。
そりゃ、もう一度会って、ゆっくり話してみたいけど。
あのヒトも先輩に負けず劣らず、イケメンだった。
この職場にはいない、スーツをバッチリ着こなしてデキる男って感じで。
ここ、私服だから、ビシッとじゃなくてみんなユルい。
それだけでもヤバいのに、ちょっと困ったような笑みとか…
なんか、ツボすぎた。
同じ時間、同じ場所に行ったって、きっと会わないと思う。
どうすれば会えるんだろう…とか、考えて。
ふと前を見れば、タバコを吸いながら鬼の形相でこっちを見ている、先輩。
「…なんですか」
「お前、それやる気あんのか?」
「ありますよ、考えてるところです」
「なら、いいが」
仕事中でしたね、はい。
ティセにも見透かされたけど、先輩にも見透かされるとは。
あたしって結構、顔に出るのかな。
…まぁいいや、とりあえず今は目の前の仕事。
何をどう直せばいいのかわからないけどね。
にらめっこして、走り書きしたメモをグシャグシャにしてゴミ箱に捨てて…
……ぅあー!頭が沸きそう!
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