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「……ティセアさん、助けて」
『手伝えることなど何もない』
「ですよねー」
なんだか今日は仕事にならなかった。
いつもみたいに集中もできず、その度に目の前からイラついたようなため息。
それがさらに集中力を途切れさせ、どんなに叫びたかったか。
なんか、疲れた。
普段、疲れ知らずなのに。
「ねぇ、そういえば、あたしが名刺渡したヒトって…」
『あー、なんかキョトンとしてたわね』
「ですよねー…」
家に帰る足取りも重い。
今になって冷静になる。
やっぱり、名刺なんて渡さなければよかった。
なんて思っても後の祭り。
『不思議そうに名刺見て、亜未と同じ方向に歩いて行ったけど』
「え、そうなの?」
職場が近いのかな?
そんなことを聞くと、いないとわかっていてもつい周りを見てしまう。
夜の22時にいるハズもないのに。
『何?なんでそんなに気にかけるの?』
まぁ、そうよね。
ちょっとぶつかっただけの相手だもん。
いつもならすみませんって、謝ってその後なんて気にしない。
でも、ティセアに言うつもりないけど、ヒトメボレしちゃったんだから。
「ヤ、うん、変な当たり方したかな、って」
『亜未、いい加減に自分がウソがヘタだって自覚した方がいいわよ』
……マジっすか!
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