魔法薬局のバイト事情

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ロイ君は学年首席、しかも満点合格を果たした秀才として校内では有名だ。 おまけに、クールな雰囲気、整った顔立ち、すらりと高い身長。 女の子が騒がないわけがない。 「リアちゃん、ロイ君、お疲れー」 「あっ、ターシャさん!」 お店の奥から現れたのは、この魔法薬局の局長のターシャさん。 すらりとした身長に、サラサラとした腰まで届くほどの美しい黒髪と麗しい切れ長の漆黒の瞳。 黒いシンプルなロング丈のワンピースに白衣をさらりと着こなしている。 若く美しい容姿だけじゃなく、群を抜く魔法薬についての技術と豊富な知識。 性格も難はなく、誰とでも親しく話ができる。 何でも器用にこなしてしまう、かっこよくて美しいお人だ。 ただひとつ問題があるとすれば。 「ふわーあ…」 「ターシャさん…また寝ていたんですか? もうお昼ですよ」 朝も昼も営業時間も関係なく、店の奥に引きこもっては寝ている、ということだ。 こじんまりとしているこの薬局は、お客様も多いわけじゃないから、ターシャさん1人でも十分にやっていける。 それにも関わらずバイトを2人も雇っているのは、こうして引きこもっていつでも寝られるようにするためだと、いつだったか酒に酔っ払ったターシャさんは言っていた。 まったく、現役の国家魔法薬師としてどうかと思う発言だ。 「仕方ないだろ、日が昇る直前じゃないと採取できない薬草やら材料たちを採取しに行ってたんだから。おまけに、帰って来てからは休まずに魔法薬を調合していたんだ、ちっとくらい休ませてくれたっていいじゃないか」 ターシャさんはあくびを噛み締めたような、しまらない口調でそう言った。 こんなにがさつに振る舞うなんて、せっかく美人なのに勿体ない。どおりで彼氏がいるだとか浮いた話を聞かないはずだ、とわたしは溜め息を吐いた。
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