ふたりだけの

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「司!?」 「…………確かにすごく嬉しいけど。でも、もう二度とあんな無茶なことしないで」 「無茶ってほどじゃな」 「──結婚。したんだから」 「……」 「もう、颯真はオレのなんだから。自分のこと大事にしないのは、大切な人のこと蔑ろにするのと同じなんだから」 「ぁ……」 「約束して。長生きしてくれるんでしょ」 「…………──するよ。二人で白髪のじーちゃんになって、猫と日向ぼっこするんだから」 「ん」  上出来、と偉そうに笑って見せて、滲みかけた涙を乱暴に拭う。 「大好きだから、ずっと傍にいて。もう他に──ホントに何もいらないから」 「分かってる」  大丈夫だよと笑った颯真に優しく抱き締められてようやくホッと息をついたら、力んでいた体からゆっくりと力が抜けて。  抱き締め合う温もりが、胸を暖かく満たして幸せに変わっていくのが分かる。 「颯真」 「ん?」 「幸せだね」 「……うん」  嬉しそうに照れた声が耳元で頷いた後、幸せに緩んだ顔で覗き込んできて、 「幸せだよ」  そんな風に、満ち足りた声で微笑うから。  満ち溢れた幸せが、結局は拭ったはずの涙になって零れて。  驚いた颯真が、だけどまた嬉しそうに相好を崩した。
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