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「最近、サッカー部の浅田と別れたらしいぜ」
そう言うと周りから「マジ?」などという反応が飛ぶ。俺は驚いたフリをしながら話を合わせる。ダブルの意味でホッとした。
「まー、俺達には高嶺の花だから関係ねーけどな」なんて吉岡の自嘲気味に言い放った。それに一同、笑いながら頷く。勿論、俺も。
だけど、関係ないことってあるのか?
これは俺にとってチャンス到来なのかもしれない。関係ないと言って終わらせるか、大アリにして行動に移すのかは自分次第じゃなかろうか。
「とりあえず、カラオケ行こうぜ」の吉岡の提案で俺達は駅ビルを出ることになった。俺はふと立ち止まって、後ろを振り向く。
明日もあの本屋行ってみよう。いや、カラオケ終わったらあの本屋に行って、とりあえず『新刊コーナー』の本を全部チェックしよう。マンガしか読まない俺だけど市川のためなら、そのくらいやってやる。
願わくは、その時まだ市川が本屋にいてくれたら最高なんだけどな。
そう思うと、いつもと変わらなかった放課後の景色が途端に色鮮やかになっていく気がした。
だから俺は少しだけ足取り軽く、先を行く吉岡達の後を追いかけていった。
18years after school
#4 始まり
--終--
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