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翌日の放課後。ジャージに着替えた太郎は、胃痛を感じながら、校庭裏のテニスコートへ向かっていた。
ジャージなんて、まだ体育の授業でさえ使っていない。それなのに、よもやこんな理由で着ることになろうとは、この学校に入学したときどうして予想できただろう。
(一体なんだってこんな展開になっているんだ……)
太郎は心の底から己の不幸を嘆いた。当初の目標、テニス部で勝ち気な高校生活という目標は、どこへ行ってしまったんだろう?
重い頭を抱えながらコートに着くと、そこにはすでにテニス部の部員が十人ほど、おのおのにストレッチをしたり、ラケットをふったりと部活動に興じていた。その中に、テニスウェアに着替えた小松岡主将と錦巻副将がいた。
小松岡主将は太郎の顔を認めると、
「おう、来たな一年」
とニヤニヤしながら歩み寄ってくる。彼のテニスウェア姿は、細マッチョな体系にぴったりフィットしてかなりサマになっている。さすが主将といったところか。
「ところで、あの変人山田は?」
太郎は力なく返す。
「わかりませんけど、もうすぐ来るんじゃないですか……」
「あ、噂をすれば」
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