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「簡単なラフゲームだ。ジャンケンでコートかサーブ権か決めようぜ」
「わかった。じゃーんけん、」
ポン。
小松岡主将がパーで、山田部長はグーだ。
「やりぃ。じゃ、俺らサーブな」
「では、そっちのコートをもらおう」
プールを背にしたコートと、林を背にして引かれたコート。山田部長は、林側のほうを選んだ。
小松岡は、トントンとボールを地面に叩いては掴みながら、プールに近いコートに入っていく。太郎と山田部長もそれにならい、コートに歩を進める。コートの右側に太郎が、左側に山田部長がついた。向かいのコートでは、こちらから見て右に小松岡主将、左に錦巻副将がいる。つまり、小松岡主将のボールは山田部長が、錦巻副将のボールは太郎が受けるというわけだ。
「めんどくせえから、一ゲームで四ポイント先に取ったほうが勝ちな」
と小松岡主将。一応、昨夜テニスのルールは頭に入れてきた。通常なら、三セット勝負するところを、一ゲームだけで終わらせるのか。先に四点入れたほうが勝ちで、三対三のポイントになったら、デュースで延長試合。
「行くぜ……」
ぶん、と小松岡主将の手から離れたボールが宙に舞う。彼のラケットは、正確にボールをとらえ、ものすごいスピードでネットを超えてくる。
――早っ!!
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