ACT.2 生徒会棟

34/41
前へ
/86ページ
次へ
になった右腕を掲げ、こちらに向けている。 「破壊セヨ、破壊セヨ」  その人工的な声が響くなり、太郎の隣で一陣の風が巻き起こった。 「ぶ、部長!」  弾丸のように飛び出した部長が、ラストTZー1000に跳びかかり、押し倒した。方向 を見誤ったレーザービームが天井に飛んで行く。それは見事に天井のいち部分を破壊した 。これまでの炎タイプ、水タイプ、雷タイプのTZー1000より確実にバージョンアップ した撃破だった。 「お前たち、逃げろ!」  TZー1000ともみ合いながら、部長が叫ぶ。 「そんなこと、できるわけないじゃないですか!」 「嫌だ!」 「聞き分けのないこと言うな! ここで全員共倒れになってもいいのか! アリス!」  射抜くような眼差しで部長はアリスを見る。アリスは、ぐっと悔しげに唇を結ぶと、太 郎の腰を引っ掴み、米俵のように小脇にかかえて走りだす。短い廊下を駆け抜け、三階へ と続く扉を目指す。  抜群の運動神経だ。 「部長ぉーーーーー!!!」  太郎の叫びがこだまする。 「太郎、ゲートを閉めろ!」  はっと見渡せば、扉のすぐとなりに、スイッチが備え付けられていた。太郎はあらん限 りの力でそれを叩いた。ゲートは、思い音を立てて、ゆっくりと降り始めた。     
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加