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になった右腕を掲げ、こちらに向けている。
「破壊セヨ、破壊セヨ」
その人工的な声が響くなり、太郎の隣で一陣の風が巻き起こった。
「ぶ、部長!」
弾丸のように飛び出した部長が、ラストTZー1000に跳びかかり、押し倒した。方向
を見誤ったレーザービームが天井に飛んで行く。それは見事に天井のいち部分を破壊した
。これまでの炎タイプ、水タイプ、雷タイプのTZー1000より確実にバージョンアップ
した撃破だった。
「お前たち、逃げろ!」
TZー1000ともみ合いながら、部長が叫ぶ。
「そんなこと、できるわけないじゃないですか!」
「嫌だ!」
「聞き分けのないこと言うな! ここで全員共倒れになってもいいのか! アリス!」
射抜くような眼差しで部長はアリスを見る。アリスは、ぐっと悔しげに唇を結ぶと、太
郎の腰を引っ掴み、米俵のように小脇にかかえて走りだす。短い廊下を駆け抜け、三階へ
と続く扉を目指す。
抜群の運動神経だ。
「部長ぉーーーーー!!!」
太郎の叫びがこだまする。
「太郎、ゲートを閉めろ!」
はっと見渡せば、扉のすぐとなりに、スイッチが備え付けられていた。太郎はあらん限
りの力でそれを叩いた。ゲートは、思い音を立てて、ゆっくりと降り始めた。
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