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「ぎゃあ! 追いつかれるー!!」
全速力で駆け出す部長。だが扉にその手がかかる寸前、体が宙を飛んだ。こけたのだ。
その投げ出された足をTZー1000が掴む。
だが、その投げ出された両腕を、アリスと太郎が引っ張った。
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」
渾身の力を振り絞り、太郎とアリスは部長を引き上げる。
とうとう部長の体が室内に入ったところで、アリスは思い切りTZー1000の顔面に蹴
りを食らわせた。その隙に太郎は、扉を閉めた。ガーン! と重厚な音をたてて扉は閉ま
る。ガンガンと扉を叩く音がするが、びくともしない。レーザーが放たれたような電子音
もするが、この分厚い扉を貫けはしないようだ。
三人は荒い息を吐きながら、各々に冷たい床に転がった。
「つ、疲れた……」
「もう僕、この場所には二度と来たくありません……」
「わ、私も……」
部長は、手の甲で額の汗を拭った。そして上を見て、天井に指差す。
「あったぞ、三階への階段」
アリスと太郎は、部長の傍までにじり寄った。
頭上には、丸く穴が繰り抜かれていて、梯子が収納されている。
部長は立ち上がって、梯子に手をかけた。バネ仕掛けの梯子が開いて、床に着いた。
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