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その言葉の途中で、ゆらり、と山田部長が揺れる。
「聞く耳持たぬーー!!」
部長の拳が金髪少年の鳩尾にめり込んだ。
「ぐあっつはぁ!!」
思い切り少年の体が吹っ飛んだ。さらに追い打ちをかけるように太郎が蹴りあげる。
「この学費泥棒がぁー!!」
「げはあ!」
「てめえで管理できねえならセキュリティーシステムなんて導入すんなスカタンがぁー!
」
アリスのパンチが少年の鎖骨を抉った。
「がっぱぁ!」
そこで完全に少年の意識は途切れた。
白目を向いて、気絶する少年。
部長は少年に近づき、遠慮無く胸ポケットに手を入れた。そして「認可」の印鑑を取り
出す。
「太郎」
部長に呼ばれた太郎は、懐から「新設部届」を取り出す。部長はそれを受け取り、しっ
かりと判子を押した。印鑑はシャチハタだった。
電灯に透かしてしげしげと眺める部長。
部長はそれを掲げ、太郎とアリスを見た。
「これで山田部成立だ!」
太郎とアリスは、部長を見上げ、大きく頷く。
「はい!」
まだ決して仲が良いとはいえないふたりの声が重なった。
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