ACT.3 VS生徒会

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 放課後になり、部活に向かう生徒たちでごった返す廊下を、数名の男女が連れ立って歩いていた。歩く、という表現はいささか語弊があるかもしれない。彼ら五人が歩くと、それまでくだらないお喋りに夢中になっていた女子生徒も、スマホゲームで対戦している男子生徒たちも、みないちように彼らのために道を開けるのだ。 「おい、生徒会だ」  などと影でヒソヒソと小声で話しながら。これではまるでモーゼの十戒である。  その視線を心地よく受け止め、横目で流す者が二人。衆人に手まで振り返す者が一人。一人は無関心。そして先頭を切る金色の短髪の生徒は……ぎゅと肉厚の唇を切り結び、群衆の視線などまるで意に介さず、大股で歩き続けている。  彼らはひとつのドアの前で立ち止まった。  扉には画用紙が一枚、やや乱暴にセロテープで貼り付けてあり、そこにはマジックで乱雑にこう書かれている。 山田部 部室  金髪の少年……生徒会長・神宮寺獅童は、日焼けした浅黒い大きな手でドアノブを引っ掴み、ノックもせすに扉をバーン! と押し開いた。 「生徒会の抜き打ち審査であるー!」     
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