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突然奇声を発し、生徒会長たる神宮寺獅童が割って入った。
「俺にも喋らせろー!」
「会長」
「あ、お前どっかで見たことあるな? な、こいつどっかにいたよな?」
「最近どこかで見た気がする」
「そうですね、どっかで見ましたね。うーん、どこだったかなぁ……」
「だぁからぁらぁ、お前達が生徒会室に来た時にお前らがオレのことボッコボコにしたんだろうが!」
「あ、そうだった、そうだった。あのすんげー弱っちいやろうか」
「三人がかりでこられればそれはな!」
「いや、何、そのお礼参り?」
「そんなところだ」
獅童はあらためて制服の襟を正した。
「俺は生徒会長の神宮寺獅童。お前達山田部に一つ残念なお知らせだ。おい、うたゑ」
「ウタエ……?」
獅童に名前を呼ばれて、黒髪みつあみというベタな昭和スタイルの少女が前へ出てきた。
彼女は手に黒革の手帖を持っており、その表紙には[実透うたヱ]と白いペンで書かれている。これが彼女の名前なのだろう。
うたヱは、ぺこり、と山田部の面々に一度お辞儀をすると、すう、と一度息を吸って、矢継ぎ早に高速で台詞をまくし立てた。
「昨日山田部による生徒会棟の損害
ーー以上になります」
「おぉ~」
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