ACT.1 山田部とかいうよくわからない組織

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 天井は斜めになっており、ここが階段下のスペースであると知らしめると同時に、適度な圧迫感を与えている。なんだか、秘密基地みたいだ、と太郎は思った。  中央には、会議室で使うような縦長のテーブルがふたつ揃えて置いてある。机を囲むようにパイプ椅子が数脚。右側にはホワイトボード。左側には、アルミ製の本棚。その本棚の奥に、まるでそこだけ柔らかい午後の日差しを集めたように、ひとりの少女がパイプ椅子に腰を下ろしていた。  少女は太郎の存在に気が付き、ゆっくりと面を上げる。日本人離れした金糸の髪に、紺碧の瞳。しかし鼻筋や唇はこじんまりとした造りで、和風な名残を残している。北欧人と日本人のハーフだろうか。ヨーロッパとアジアの美的センスが絶妙にミックスされた、人形のような顔立ちだ。 (び、美少女だ……)  ぼーっと少女に目を奪われている太郎を、長身の男子生徒は小突いた。 「ほら、さっさと挨拶しろ。これから青春をともにする仲間だぞ」     
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