カラオケオフ会の罠

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「実際、なんの共通点もない人間を用意した。お前が女性ならって言うから女も呼んだ!」 おい、待て。 「でも、反応一緒じゃねーか!ヴォーカルはモブ1でいいんだよ!」 「俺は歌が好きなんだよ!」 静まり返る室内。 カラオケのディスプレイで新譜が流れているだけの室内。 た……耐えらんねぇ。 だが、勇者現る! 「ちょっと待って。俺達はオフ会に来ただけだし、専門的な知識は無いよ。どんなやり方しようとバンドの都合であって、俺達参加者は全然楽しめてない!」 ウサギ君である。 「その代わりに、ここのオードブル、貰って帰っていいですか?」 「!」 「はい……どうぞ」 そしてウサギ君が持参のタッパにオードブルを詰め終わると、私とナルシ君、初対面組の3人は飲み直しに出かけたのである。 ウサギ君とは後に良い友人になり、度々遊んだが、彼の家は母子家庭で下に4人の兄弟がいたのである。オードブルは明日の昼飯にすると言う。 頼もしい長男だわ。最近やっと全員巣立ち、自分も結婚したようだが、ここでは割愛する。
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