60人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「何言ってんのよ、だったら先輩と付き合っちゃえば良かったのに」
トモヤンが卵焼きを食べながら言う。
「だって……私、先輩の事よく知らないし」
居心地悪く、口ごもる。
不意にりのりんが私の後ろを見上げた。そのまま固まる。
……?
「何?」
まさか地縛霊見えるとか?
笑いながら私も振り返って同じ場所を見上げた。
……。
姿勢を戻して何事も無かったかのようにお弁当を食べ始める。地縛霊よりも質の悪いのが私の後ろに居た。
一体いつからそこに居たのか。
昨日、顔も見たくないって言ったんですけど。
「お前、釣り持って帰れよ」
「はぁあ!?いつまでもくれなかったのはそっちでしょ?」
思わずいつもの言い方をして我に返った。
……みんなこっち見てる。
トモヤンもりのりんも変な顔でこっち見てるし。
違う。ここでは私はこんなキャラじゃない。
「……とにかく、人のクラス勝手に入ってこないで」
声を圧し殺して伝える。
関わり持つとろくなこと無い。最悪。
「あのさ、ちょっと話あるから来て」
「嫌。私は無いし」
「いいから来いって」
手首を掴まれると強引に立たせて連れていかれる。
最初のコメントを投稿しよう!