1人が本棚に入れています
本棚に追加
準備を整えたユートとエルートは、リナと共にお店が建ち並ぶ通りを歩いていた。
大きな町とは言えないが、そこそこ賑わいのあるこの町には色んな人が行き交う。
旅の途中で立ち寄った者が多く、ここからまた違う町へと流れていくものが多かった。
買い食いをする女性2人を後方の方から眺めながら、ご飯を食べたばかりだというのによくまだ食べれるなと感心するかのように見つめるユート。
「今日はどうするの?」
先を行く2人に追いつくように足早に横へと並ぶと、頭一個分より上にあるリナの方へと視線を向けるユート。
「今日は森にあるキノコを取りに行こうと思って…」
母親のいないリナは仕事で忙しい父親に代わり、主に家のことを任されている訳では無いが率先してするという。
その点で言うならば、家も似たようなものだなとユートは思う。
「家も持って帰ろう。少しは食費の足しになるしさ」
エルートの言葉にユートが頷く。
母子家庭ではやはり食費がかさみ、なかなか生活が苦しい面もあるのだ。
近所の人が優しいのでときおり野菜などをくれるので助かっている。
「あんまり森の奥には入らないようにしなきゃね」
近頃、魔物の動きが活発化しており、人を襲うという事件が多発している。
たまに町へと続く道の途中にも発生するのだが、リナの父親などの騎士団によって町は守られている。
ユートとエルートの母親のアリスもそこの一員だ。
昔はそれこそアリスはリナの父親と他のメンバーで旅に出た経験があるそうだ。
その中にはユートとエルートの父親もいたという。
最初のコメントを投稿しよう!