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バラバラにされて
夏希の屍が化学室で見つかったらしい。
既に搬送が済んでいる。
ワタシがこの学園に臨時教師と着任して1年、イロイロなことがあった。
どうせ殺すなら生徒じゃなくて先生にしてほしいな?人手が足りなくなれば切られなくなるかも知れない。
「バラバラにされて人体模型みたくされていたらしい。ピンでアチコチを繋がれていたそうだ」
安田が言った。
「猟奇的ね?」
「単なる受験によるストレスだけじゃなさそうだ」
「安田くんは正規採用試験受けるの?」
「臨時には関係ないだろ?」
会議室を出ると松田優作を小さくしたような青年が立っていた。
「高城先生ですね?」
「ええ、そうですが?」
「館山警察署の日向と申します」
「署までご足労願えますか?」
真知子は《里見学園殺人事件》ってゆー小説を書いていた。やっぱり、学校を舞台にするのが1番簡単だ。社会経験が乏しいワタシにとっては学園ミステリーが性にあっている。
だが小説で殺したのは夏希ではない。
『下町ロケット』とかを書いている池井戸さんってスゴいリアリティがあるのを描くよね?
正規教員とは待遇が全然違うのに仕事量だけは同じとゆー理不尽な扱いを受けている。
どうせ描くならイロイロな教科を描きたいが、何人も先生を描くのは面倒だ。様々な教科を受け持つ臨時教師ならそれが可能だ。
モデルは以前、ウチにいた新山先生だ。
執筆する上でアドバイスに乗ってもらっている。
会議室にて朝の会議が終わるとワタシは3年1組の吉田陽子先生から給湯室に呼ばれた。
アンニュイな感じのする先生でセクシーなドレスを着ている。学校を舞踏会と勘違いしてるのか?
「あの?高城先生って文芸部の顧問でしたよね?」
「はい、そうですよ」
「楽しそうですよね~?ワタシも入っちゃおうかな~?」
「いや、でも陽子先生って吹奏楽の顧問ですよね?そんな暇ないんじゃ?」
「そ~そ~大会とか大忙しですよ?あっそうそう、安田って人には気をつけた方がいいですよ?老婆心ながら忠告させていただきます」
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