デジミス

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デジミス

「先生ってハギスって何ですか?」  スマホを置いてワタシは宝木先生に尋ねた。 「いわゆるゲテモノよ」 「マムシの黒焼きとか?」  赤山がケラケラ笑った。 「それをゆーならトカゲだろ?」 「アゲアシとらないでくださいよ」 「アゲアシじゃねーよ?何にもしんねーから、教えてやったんだろ?」  イヤな性格してるわ!長生きしないわよ!?  ワタシはマジで心配になってきた。  学校に来なくなって1週間だ。 「まさか、咲子ちゃん……………………」  ワタシは2年5組、咲子は1組だ。 「最初は風邪だって電話があったんだろ?」  赤山がクランキーチョコを頬張る。 「うん、学校に本人から電話があったそうよ?」  宝木先生が言った。 「だったら心配ないよ?インフルエンザか何かだろ?偶然だよ、偶然」 「赤山君の言うとおりかもね?サキコなんて名前、珍しくもなんともないでしょ?」と、宝木先生。 「それにしても面白いよな?デジミスって」  赤山が言った『デシミス』とは、デジタルミステリー大賞の略だ。いわゆる、ケータイ小説だ。  野イチゴとか面白いよね?    ドアが開いてメガネの秀才風が入ってきた。  2年1組の青木だ。 「先生、文芸サークルでもデジミスにトライしてみません?」 「青木くん、咲子ちゃんのこと何か聞いてる?」  ワタシはどうも青木を好きになれなかった。  トライのCMのあのキャラに似てるせいか?好きになれない。パパは学習塾を経営していたが失敗した。そのせいでキライなのかもな?離婚はしていないが、今やママの方が稼いでいる。  家でママが如何わしいことしてくれてるせいでガッコーにも通えてるんだ、文句は言えないな? 「僕にはあまり関係ありませんので」 「おんなじクラスなんでしょ?」 「クラスが一緒ってだけで別に友達でもなんでもないですからねぇ~」  マジでカチンと来るんだよな!?  金槌で頭殴ってやろうか? 「青木ィッ?」  赤山が両拳の関節をバキバキ鳴らした。  やっちまえ!鉄槌を下せ! 「ヒィッ?僕、何にも悪いことしてません」 「てめぇ、はじめて俺と気があったな!?賞金目指そうや?」 「ハッ、ハイ~…………」  青木がひきつった笑顔で言った。  こうしてワタシたちのアクナキ戦いは幕を開けたのだった!ベンベンッ!!
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