古いフィルム

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古いフィルム

 研究室の半分は本棚でビッシリ占領されている。  紐綴じの和本なんかもある。  同人誌や文集、作文の原稿もある。 『生徒名簿』を見つけた!  ワタシは隣にある映画研究部に顔を出した。  倉庫から古いフィルムを持ってくるってゆー管轄外の仕事も任された。 「おっ、ご苦労ちゃん」  部長の月岡健夫が愛想笑いをする。 『N街ハザード』にも月岡ってキャラがいたよな?  月岡はフィルムをDVDに落とすってゆーオタクな作業をしていた。演じるなら六角精児、イヤァ…………老けすぎか?浪人生だったら大丈夫か?  テーブルにはフィルムの缶が置かれてある。 「重かったでしょ?」  冷蔵庫からドデカミンを出して渡してくれた。 「大丈夫だよ?口なんかつけてないからさ?」 「ハハハッ」 「すこーしつけたかもな?」 「ウワァ!」 「マジで嫌がんないでよ?ジョークだったのにぃ」  ある部屋で卓球をするシーンから始まった。  紛れもなく卓球をしてるのはワタシだった。  相手は、そう!山崎エリカ!鬼女と呼ばれた先輩だ。この女の入部特訓にイヤになりサボるようになったのだ。 「ちょっと、これ…………どーゆーことですか?」 「君はあれから随分ガンバったな?エリカが悪いことをした」  舐めるようなカメラワーク、ビルや家屋のセットが映し出され颯爽とエリカが走っている。  画面が暗転してエンドロールが流れる。 「君はイジメラレ役は相応しいと思ってな?エリカは映画研究部のスターだったんだ」  あの特訓は全て演技だった!? 「でも、卓球部に確かにいましたよね?エリカ先輩、世界大会にも出てましたよ?」 「映画研究部も掛け持ちしてたんだ」 「ワタシは囮につかわれたってことですか?」 「ライバル役から這い上がったスターはたくさんいるぞ?小西真奈美、水野美紀、水川あさみ…………」 「学園の地下にギャンブル場があるって噂、知ってます?」 「急に話を変えるな?高城真知子」  グビグビグビ、喉が乾いた!ドデカミンがウマイ! 「すみません、ゲプッ」  相変わらず炭酸キツイな? 「安達祐実にどことなく似てるな?」 「家なきゲプッ子…………フハァ」 「何だよそりゃ?」 「すみゲプッまゲプッせん」 「わざとやってるんか?」  月岡はラジカセのテープの再生ボタンを押した。 《ワハハハハハハッ!》 「雨トークの観客の笑い声録音したの」
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