プロローグ

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 ああ、ほんとつまんねえな。  オレの人生、何なんだろう。  美大受けて、落っこちて、オレより後から来た奴らにどんどん置いてかれて。  ダメだな……泣けてきそうだ。  情けねえな、死にてえ。  ていうか、死ぬのかな……。  ホントに死ぬのかな。  いや待て……ホントに死ぬのは、まだちょっと―――― (こっちよ! 早く来て!!)  急に周囲が温かくなり、女の声が聞こえた。  マジかよ。  警察呼ばれたのか。  パトカー来たのか。  逮捕か。  ああ、また親父に怒鳴られる。  いや、今度こそ勘当だ。  別にいいか。  オレはきっと……もう1人で生きていけるし。 (本当なの?) (ねぇ、私にも見せて!) (間違いないでしょう?) (やだ……! 本当に……!) (信じられない!)  何でこんなに女が集まってきたんだ。  そういえば、さっき誰かが「お漏らし」と言っていたような気がする。  ヤバい。  こいつらはオレの「20代浪人生お漏らしで逮捕」現場に集まって来た野次馬だ。  カッコ悪い事この上ない。  クソっ! クソっ!  漏らしたのはションベンだけどな!
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