プロローグ

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(起きてください! ねぇ、早く目を覚まして!)  誰かが顔をぺちぺち叩いてくる。  やめてくれ、オレは起きねえ!  ションベン垂れ流しで連行されるくらいだったらこのまま死ぬ!  死なせてくれぇ!! (ねぇ、起きないわ) (どうしたのかしら?) (息はしてる?) (してるわ。心臓も動いてる) (寝てるだけよ) (お姉さま、どうしましょう) (しゃあないなぁ……アタシに良い考えがあるよ)  周りにいる声が止んだ。  そして、次の瞬間身体がぐわっと浮き上がるのを感じた。  うわっ!  まさか、起きないからみんなで担いで署まで強制連行か!!  わ、分かった分かった!!  起きます! 立ちます! 歩きます!  だからオレにこれ以上恥を――――――― 「せーのっ!!」  覚醒した瞬間、体が宙に浮き、そしてドボーンという音がした。  何が起きたのか分からないまま息ができなくなった。  がぼがぼと沈んでいく感覚。  あったかい水の中。  いきなり風呂に投げ込まれたのか?  漏らしたからってそんな殺生な!  オレは必死でもがき、浮上した。  明るい光がオレを包み込んだ。
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