【第一話】 アポロンて誰や

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「栗生……」 「まぁっ! 私の事、覚えていてくださったのね!!」 「え?」 「そうよ!! 私は、クレイオー! 『歴史』のクレイオ―です!!」  名前を口にした途端、目の前の美女は狂喜乱舞して抱きついてきた。  いやいやいやいや。  お姉さん、違います違います。  私は、栗生と言ったのです、く・り・う、と。  しかも、歴史ってなんですか。  あんた、若いけどどっかの先生ですか。  ていうか、おっぱい。  むしろまずおっぱい。  オレの首元らへんに魅力的なふにふにFカップ(推定)。  それが何だかいい具合にぶにゅーのむぎゅーなんですが……いやいや力込められたらおうふっ!!  うわーん! やっぱりおっぱい怖いよー!  女の子怖いよー! 「やだ、悔しい。よりによってクレイオ―だなんて」  オレが栗生似の美女を知り合いと認識したと思ったのだろうか。  他のお姉さま方はなんだか悔しそうな顔をした。  そのじとっとした感じ、ジェラシーですか?  生まれてこの方嫉妬なんてされた事ないけど、そういう感じなんですかそうですか。  いやいやいや、待て待て待て、違いますって。  この子も知りませんって。  ていうか、このFカップをどうにかしてくれないとオレ圧死……。  オレは身振り手振りで必死に違うとアピールした。  だが、みんな痴女で思い込みが激しい上に、人の話も聞かないタイプなのだろうか。  彼女たちは呼吸困難寸前のオレに対し、先を争うように自己紹介を始めた。
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