【第二話】 リア充こわい

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【第二話】 リア充こわい

 この世界は一体どうなっているのだろう。  アポロンという神様はどういう奴なのだろう。  まずはそこから理解しなければならない。  まるっきり赤ん坊状態のオレにはやることがいっぱいあった。  アスクレーピオスは「ゆるいリハビリから」と言ってたが、結構大変そうだった。 「ご説明は私、姉妹の長女『抒情詩』のカリオペーがいたします」  そう言ったのは妹にパンツをめくらせたあのお姉さんだった。  カリオペーは場所を変え、1人でオレを案内した。  他の姉妹や医者は仕事があるらしい。  姉妹たちは「独り占めなんてずるい」とか、「抜け駆けしたら許さないわよお姉さま」とかぶーぶー言いながらも、大人しくどこかへ解散して行った。  なんかすげえモテてたのな、変態男。  いや、神様なのか。  長女のカリオペー姉さんは垂れ目で泣きボクロのある憂いを帯びた美人だ。  見た目30ちょっとくらいの、何だか「後家さん」ぽくてオヤジにモテそうなタイプ。  髪型は何か上に高く「盛ってる」感じでキャバ嬢みたいだが、地毛が金髪で顔だちが西洋人なためかケバくは見えない。  田舎から出てきたお上りさんのようにきょろきょろしっぱなしのオレに、カリオペーはアポロンが住んでいた家(豪邸)や、周りにある森、見えている山が何ていうのか等をガイドしてくれた。  そして、「オレ」が何者かなのかも改めてよく説明された。  オレの正体はギリシャ神話に出てくる「アポロン」というすごく偉い神様。  担当は学芸で、ハンサムなうえに頭もめっちゃよかったらしい。  しかもアポロンは不老不死の力をもっており、よっぽど危ない事をしなければ死なないはずの男だった。  しかし、そんな許しがたいリア充はあるとき爆発した。  うっかり交通事故に遭い死んでしまったというのだ。  全ての話はそこから始まった。
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