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「それがつい先日……ちょうど100年前の話でございます」
「ひゃ、100年とか先日じゃないでしょ! 10日前みたいな感覚で言わないでよ!」
「アポロン様がお亡くなりになって、それからずっと私たち姉妹は毎日泣き明かしておりました」
「いや、そんなアホな死に方で100年嘆き悲しむってどんだけなの」
「私たち姉妹とアポロン様には、1つの約束があったのでございます」
生前のアポロンは、数々の女たちや女神たちと浮名を流すプレイボーイであった。
神、妖精、時には人間や動物みたいなのにまで手を出し、きゃっきゃウフフのうっふんあっはんな日々を送っていた。
そして、美女とみれば誰彼かまわず手を出すアポロンの好色の目は、当然自らが主宰するミューズの9姉妹にも向けられていた。
未成年のパンツに顔を突っ込んでも怒られないパラダイス。
やはり……ここには変態リア充野郎のハーレムが存在していたのだ。
「あの日燃え盛る炎の中から、アポロン様はおっしゃいました。生まれ変わったら必ず、われら姉妹の中から1人……生涯最後の妻をお選びになると」
「つ、妻ぁ?」
「ええ。そうしたらもう、決して浮気もしないと約束なさいました」
カリオペーがそう言って涙を拭った。
今までの下りで泣けるってどんなだよ……。
聞く限り、アポロンはとんでもないクズヤローだ。
結婚したら奥さんが泣くのが非リア充のオレでも分かる。
そんなにイケメンがいいのかよ、アホか。
オレはもう、ツッコミを入れる気力がなくなっていた。
だがとにかく、みんな必死でアポロンを生き返らそうとしたのだ。
そしてそれはもう大変だったのだとカリオペーは言った。
「学芸の神・アポロンの席は空席になってはなりません。ですから、すぐに医術の神・アスクレーピウス様が治療に当たられたのでございます」
アスクレーピウスはアポロンが若いころに作った子供らしい。
職業は人間のお医者さんの監視と守護、それから神様専門のお医者さん。
その医術は極めて高度で、死んだ者も生き返らせることができるスーパードクターだという。
アスクレーピウスは、消し炭になったアポロンの肉体を100年かけて復活させた。
それがこのオレ。
どうやらそういう話のようだった。
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