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「そのカードに、アポロン様が今一番知りたいことをお願いして」
「今一番知りたいこと?」
「何でもいいよー」
占い師さんごっこかな。
オレはウーラニアーに付き合ってやることにした。
今一番知りたいこと。
それは、オレがどうして今ここにいるかだ。
なぜ、学生街の居酒屋で酔いつぶれていたはずのオレが神話の世界に来てしまったのか。
なぜ、アポロンと呼ばれてしまっているのか。
あの蛇を連れた医者の説明だけでは到底納得できなかった。
「お願い終わったー?」
「うん、終わったよ」
「はい、じゃあ出てきていいよー」
「え?」
ウーラニアーはカードをぺちぺちと叩いた。
すると、カードの絵がぶるぶると動き、描かれていた立方体の箱がコロン、と床に飛び出してきた。
その箱がカタカタと展開し……。
そこに現れたのは小さな人。
うず高く白い袋が積み上げられたゴミ捨て場に横たわるオレと、周りに集まった野次馬たちだった。
「あの……これって?」
「アポロン様が知りたいことを、小人さんが教えてくれるの」
ウーラニアーはお人形遊びをするような顔で現れた「オレ」や小さな人間たちを見ていた。
目の前にいるのはどう見ても幼女。
だが、紛れもなく「神様」なのだ。
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