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クレイオーは野原で蝶を追いかけて遊んでいたウーラニアーをもう一度呼び戻した。
そして、馬室哲学、の名でもう一度占うように言った。
「テツガク? クレイオー姉さま、それなあに?」
「あなたの占いで見えた人間界の若い男の名です。この男が今どうしているかもう一度占いをお願い」
「うーん、やってみる」
ウーラニアーはカードをよく切り、7枚選んで円形に並べた。
すると、その円陣の中にまた小さな人が現れた。
白黒の横断幕。
丸い大きな花輪。
ここは何度も行ったから覚えてる。
多分近所の葬祭センターの中だ。
どうやら、葬儀が行われているようだ。
白い菊やカスミソウで波を模した大げさな祭壇と、その真ん中に飾られたオレの写真。
その前に白い棺があった。
「やっぱり……オレ死んだんだ」
祖父が死んだときに家に来ていた近所の寺の住職が般若心境を唱え、硬い表情をした両親が焼香をする弔問客に頭を下げる。
会場には何年も会っていなかった中学時代の同級生が何人か来ていた。
みんなマジかよっていう勢いで泣いている。
あんなに泣いてもらえるほど仲良かったかな、でも泣いてる。
自分が死んだという事をこうやって見ているなんて幽霊にでもなったみたいだ。
まぁ、今のオレはむしろ神様だっていうんだけど……。
自分の葬式を見るのは嫌なものだ。
きっと泣きそうな顔をしていたのだろう。
クレイオーがそっとオレの肩を抱いてくれた。
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