【第三話】オレと、オレ

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「って、あの、オレって今何歳って事になるの?」 「アポロン様は、『3000から先は数えておらぬ』とおっしゃっていました」 「マジ……かよ」  不老不死の肉体。  これは人類の夢だ。  オレは今、有史以来人類が手に入れられずに来たものを得てしまったのだ。  不謹慎にも、オレは急にいい事を聞いた気になってしまった。  あっちの「オレ」も、死んじゃあいない。  何かイタイ奴になっているが、何か図太そうだしうまくやるだろう。  サムシング丸出し事件の始末をつけんのも嫌だしな。  そうだ、あれの責任もしっかりとってもらわなきゃな。  もう、仕方ない!  なってやるぜ、神様。  オレは自分の立場を受け入れる事をアスクレーピウスに告げた。 「そういう事なら何とかやるよ。永遠に生きれるんならまぁ……そのうち何とかなるだろうし」 「安心しました、父上。あ……馬室殿でしたか」 「うーん、その辺りの事は追々話し合おうか」  アスクレーピウスが息子、っていうのはなかなか受け入れるのが大変そうだ。  けど、このお医者さんはいい人みたいだから何とかうまくやっていけるだろう。  まず、じゃあ何をすればいいのか。  そう聞くと、アスクレーピウスは首をひねった。  どこから説明していいのか、アポロンの仕事については彼もよく分かっていなかった。 「お仕事はたくさんありますよ。唯一無二の神ですから」 「どうしよ。もしかして激務なのかな」 「そんな様子はなかったですが……まぁ、すぐに分かります。心配する事はないですよ」  アスクレーピウスは呑気にそう言って去って行った。  クレイオーやウーラニアーにも何かやることがあるらしく、仕事だと言っていなくなった。  大丈夫なのかな。  だって、神様の仕事だぞ?  ああ、でも一応リハビリ期間って事にしてたし、無理はしなくていいのか。  オレはとりあえず屋敷の中に入ることにした。 ?
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