1人が本棚に入れています
本棚に追加
どこの国に行くのか分からないが、アレを最低100万人が聞くことになるらしい。
穴があったら入りたい。
いや、むしろふかーい穴を掘って埋めてくださいという心境だった。
ああ、せめて日本だけはやめてほしい。
絶対○chで叩かれる……。
「でも、これで安心しましたわ」
エウテルペーは微笑みを浮かべた。
「ご記憶が戻らなくとも、やはりアポロン様はアポロン様なのですね」
「はぁ」
「さぁ、もっとお歌をお聞かせくださいまし。下界の人間たちが待っていますわ」
いや……すっげぇプレッシャーなんですけど。
だって、傍らにありえねー美女がいるんですよ、めっちゃ女神の微笑みなんですよ?
多分、プロでもこの状況は無理ですって。
ねぇ?
オレは一気に動けなくなり、竪琴を抱えて固まった。
すると、どこからか笛や太鼓の音が聞こえてきた。
バルコニーから見下ろすと、中庭で輪になっている一団がいる。
その真ん中にで歌いながら踊っている偉そうな感じの女神。
ああ、確かエラトーさんだったっけか。
「リュートもっと強くお願い。それじゃあリズムが乗らないわ」
「エラトー様、いっそ近代楽器にいたしませんか?」
「またぁ。まぁ、いいけどぉ」
エウテルペー曰く、エラトーは「独唱歌」の神らしい。
一人で歌う歌、なのでボーカルが1人のバンドの曲なんかも入るわけだ。
楽団はわさわさと解散すると、今度は今まで持っていたレトロな楽器ではなくどこからかエレキギターやドラム、そしてキーボードなどを引きずってきた。
あんなの神話の世界にあるのかよ。
オレがそう思っていると、エラトーはエレキギターを肩にかけ、絃を弾いた。
アンプも何にもなしに爆音が響き渡る。
電源、どこからとってるんだろうか……。
最初のコメントを投稿しよう!