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「こんにちわー! 私達!」
「「TNK(天界)48でーす!」」
うわぁ、やっぱりー!
キャッチーなイントロと、頑張れば真似できそうな振付のダンス。
そして、カラオケで絶対1人は歌ってそうな感じのメロディー。
さらに「対象年齢が中学生前後から」って感じの歌詞と来ればあれだ。
もう、完璧にあれだ!
テレプシコラー姉さんはこのダンスと曲をただ今全盛期のあのアイドルたちに下ろす気なのである。
女の子たちのダンスが終わると、テレプシコラーはまだ見て欲しいグループがいると言った。
入ってきたのはみんな顔が濃い感じの若い男の集団。
これまた何か見た事のある雰囲気だった。
「彼らもダンス集団ですの。高度なテクニックが売りですのよ」
「もしかして、縦一列に並んでグルグル回ったりする?」
「まぁ! どうしてお分かりですの!?」
「……やっぱり」
言ってみればオレは今、男にも女にも大人気なトップアーティストの未発表曲をライブ会場貸切で見させてもらっているわけである。
多分普通の人間だったら例えあの「ちょっと小太りメガネの有名プロデューサー」と「ちょっとサルっぽいグラサンのボーカル兼プロデューサー」が親友だったとしても実現しない贅沢だ。
そして、傍らのテレプシコラー氏は彼らとさらに他に大勢のプロデューサーだの監督だのを兼任しているようなすげえ大物な訳で……。
なるほど。
忙しいって言った訳がよーく分かった。
「いかがでした、アポロン様?」
「うん。すごく良かったよ。きっと流行ると思う」
「ありがとうございます。では、これから明日までにまた新しい曲を作りますわ」
「えっ、そんなにすぐ?」
「今度は合唱曲ですの。私の担当範囲は広いですから、サボってなんていられませんわ」
そうすか、お疲れ様っす。
っていうか、またオレ明日も見ないとダメなんかな。
思ったより忙しいじゃんか。
そんな事を思いながら、その日は終わった。
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