プロローグ

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「とりあえず、自立しなきゃとは思う。多分、実家にはいさしてくんないと思うし」 「マジすか」 「アパート探さなきゃだな」 「1人暮らしすか! うわ、いいっすね!」 「下北とかいいな。前から住みたいと思ってたし」 「すげえ! オレ、遊びに行きます!」  浮かれた口調の18歳が、どうにもオレをバカにしているようにしか聞こえなくて困る。  落ちたくせにいささか明るいのはやはり、3浪のオレを見て自分のほうがマシだと思っているからだろう。  いや、まだ自分の立場がよく分かっていないだけかもしれない。  奴はまだどうするか分からないが、もし「来年も受ける」と言えばそこから黄泉路への旅が始まるのだ。  オレがそうだったように。
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