プロローグ

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「すいません、ジョッキで生」 「うぉ! ペース早いっすね馬室さん」 「うっせ。お前らも飲め!」 「飲めって、オレ未成年っす」 「聞こえねー聞こえねー! おら! 飲めよ、おら!」  2人に無理やり飲ませようとして、拒否られて、無理やり絡んで、ウザがられて。  それから何杯飲んだのか覚えていない。  気が付いたら辺りは真っ暗で、寒くて、なんだか臭かった。  記憶の端っこにドン引きしている2人の顔がある。  オレはどれだけ酩酊状態だったんだろうか。  2人に見捨てられて置いて行かれるくらいどうしょもなかったのは確かだ。 (うわっ……こいつ、ゴミ捨て場で寝てるよ)  どこかの誰かの声がした。   寝てねーよ。  起きてるよ。 (やだー、酔っ払い? ありえないしー)  酔ってねえよ。  オレは酔ってねえ。  あれくらいで……オレは酔わない。 (警察呼んだほうがよくね? うわっ、お漏らししてる!)  うるせえよ。  うるせえ。  オレは犯罪者じゃねえ。  警察なんか……警察……。  ていうか……なんだ。  ケツの辺り、めっちゃ冷てえ……。  漏らしたとか、そんな単語が聞こえたような気がしたが、それよりひどく眠かった。  冷たくて、身体も寒いのに、すごく眠たかった。  寒い中で寝たら死ぬんだったか。  雪山とか、そうなんだよな。  遭難って、そうなんだよなってシャレか。  つまんねえな。
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