縁在りて無し

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「たはー。やっぱり何も知らんで来たんだねー。まぁ、ここに来る人は大体そうなんだけどねー」  大げさに額を抑え天を仰ぐ動作をした――にも関わらず、コイツのローブにより顔に作られた【影が消えない】。  まるで、顔の上半分に張り付いているみたいに、その詳細を隠し続けている。 「外に人除けの結界彫り込んでんだから当たり前だろ?」 「うんうん、そうなんだよー。ここの経営方針は【来たがる者は拒み、来るべき者のみ招く】だからねー」  だから、あの引きこもり結界か。 「来るべき者って?」 「ここに来なきゃいけない人。つまり縁がある人ってことだねー」 「ふーん? 俺も何かしらの縁があるってのか」 「うんうん」  大げさなくらいに首を縦にぶんぶん振るが、やはり顔に落ちた影は形を変えないまま。 「んじゃあもっかい聞くが、ここはなんだ?」 「おお、言い忘れてたねー。こほん……えー、いらっさいませー。本日は魔導書店【カフの気まぐれ】へようこそー」  やる気の欠片も感じない接客だったが、俺はその内容に驚愕し、動けなくなっていて。 「魔導、書店? 本屋……なのか?」 「へい。さようでさー」 「まさか……おい嘘だろ? それってもしかして、あの都市伝説の!? そこにいきゃあ、世界中の魔導書が揃うって噂の!?」     
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