縁在りて無し

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「んーちょっと違うかな。世界中どころか、異世界でも異次元でも遍く網羅してるよーん」 「なん、てこった……」  マジかよスゲーぜ!  感動で言葉が出ねぇ……。  この魔法技術のみが物を言う【魔導宗主国ディエンスリュード】において、生まれてこの方【魔術の才など皆無】で、全く魔術なんざ縁が無いと思っていたこの俺が、まさかこんな類稀なる形で縁が出来るとはな! 「よっしゃあ! じゃあ早速最強の魔導書を売ってくれ! ……ってしまった。俺、たいして金持ってねぇ……」  がっくりと膝を付き項垂れる。  魔術の才が無けりゃこの国ではロクな仕事にありつけやしない。  必然的かつ定常的に、俺の財布の中身はほとんど空っぽだった。  質が良い物ほど法外な値がつく魔導書なんて、手が出るワケねぇよ……。 「ご安心召されよー。ここで頂く対価は一つ……【縁】だから」 「縁……だって? なんだそりゃ? どういうことだよ?」 「縁ってのはねぇ、凄く強い力なんだよー。人と人とが出会う縁だけじゃない。人と物が出会う縁――即ち、【人と本】が出会う縁というのも、存在しているんだ」 「人と、本が?」  本との、出会いだと? 「うんうん。その時々に応じて、その人に【必要な情報が詰まった本】と出会うことがあるよねー?」 「いや知らん」     
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