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俺、あんま本とか読まないし。
「……あるんだよー。見えざる者の見えない力に互いに引き寄せられて、出会うべくして出会うのが【縁】だ。ここでは、その【大いなる流れの力】を対価として頂くのさー」
「はぁーん? そうかい。つまりは、金はいらねぇってことだな?」
「……まぁ、そうだよー」
「っしゃあ! なら、その俺と【縁のある本】ってヤツを早く紹介してくれよ!」
「おーけーおーけー。じゃあちと、そこの円い石に乗っておくんなまし」
「ん? これか」
指で示された方を見やれば、床に分厚い円板みたいな灰色の石がいつの間にか置かれていた。
それは、頭上で魔術光に包まれている少女を乗せている物と同型っぽい。
てことは、アイツも縁に引き寄せられた客か?
俺は円い石の上に乗り、ローブの店主の方に向き直る。
「ぐっどらーっく」
と、親指立てられて、そのまま勢い良く上に飛ばされた。
「うぁぁぁぁぁああぉぉおおおおおおお!?」
いや速い!
速いって!
落ちる!
すーっと滑らかに上昇し始めた円い石。
振り落とされそうになりながら、必死にしがみ付く。
途中で、先に上にいた金髪碧眼の少女が降りてきた。
俺と同年代くらい――だから、一六歳前後に見えるな。
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