見付けた

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 なぜ、ここにこれがあるんだよっ!!  それは、フラッと立ち寄った商店街の、小さな古本屋にあった。  マンガ本がなによりも好きな僕は、珍しい掘り出し物がないかと、老人男性が一人で経営している古本屋に入ってみた。  それほど広くない店内には、所狭しと古書が積み上げられ、ジャンル分けされていない本棚には、小説や入門書の間に、本数が揃っていないマンガ本がバラバラに並べられている。  さすがに、18禁のアダルト系は別にコーナーを設けてあるが、どこからでも丸見えの位置にあったりする。  天井まである、大きな本棚を見上げる。この先、売れることはないだろうと思われる色あせた分厚い辞書のようなものが並ぶ。  紐のようなものでまとまれているが、おそらく、全巻あるのだろう。  そんな古書に埋もれた店内を探索する。  すると、1冊だけ、妙に光を放つように僕を惹き付けるものがあった。 「これは……」  隠れるように存在感を消し、この僕に見付けてもらうのを待っていたかのように、そして、ついに出会えたと感動を覚えた僕の手が、それに触れるように、お互いに引き寄せられた。  どっちかと言えば、僕の手が近寄っていったのだが……。
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