11人が本棚に入れています
本棚に追加
夏祭りは盛況だった。
よく知った顔の人がたくさんいた。
院長先生がマイクを持ち後カラオケを披露した。
主治医の先生は焼きそばを焼いていた。
ぼんぼりがたくさんつるされ、近所の人が盆踊りを楽しんでいた。
祭りの音、人々の顔、何もかもが華やかだった。
「いいわね。みんな楽しそう」
浴衣姿に団扇をそよがせ君も楽しそうだった。
「生きるってこういうことなのね。今まで何かを忘れてたみたい」
しみじみと言った。
そうだよ。小夜子。君は今この時を生きているんだよ。
生きているだけでずばらしいことじゃないか。
祭りの灯りは夜遅くまで灯っていた。
最初のコメントを投稿しよう!